カウンセリングを勉強したこと、もしくは調べたことのある方は「傾聴」という言葉をご存知のはずです。カウンセリングにとっては傾聴は基本となるものです。話し手の言葉を否定せずに、ひたすら聞き役にまわる。それだけだったら、誰でもできるんじゃないの?と思われるのではないでしょうか。
では、自粛中の主婦の例でご説明します。
【愚痴の場合】
「聞いてよ、うちのダンナ、子どものことすごく怒鳴るのよ!」
「えー、なんで?なにがあったの?」
「テレワークしててうるさいんだってさ。だから私もいい加減にしてってダンナに怒鳴っちゃった」
「なにそれ!相手子どもじゃん。ひどくない? 怒鳴っていいよ!もっと言っちゃえ言っちゃえ」
【カウンセリングの場合】
「夫がこどものことをすごく怒鳴るんです」
「あなたはそのような時は、どんな気持ちがしますか?」
「えーっと・・・子どもが可哀想だし、なんだか自分が母親としてきちんとしつけをしていないんだって嫌味で言ってるのかなって感じで、不愉快です」
「お子さんだけでなく、自分も責められているように感じるのですね」
「はい・・・。夫がテレワークに集中できなくてイライラしているのはわかるのですが、私のせいで子どもが怒られているのだと思うとつらいです」
「つらく感じるのですね。直接言われなくても、自分のせいだと思ってつらいと感じてしまう。同じようなパターンで、つらさを感じた経験はありますか?」
(そしてカウンセリングは深堀りを続けていきます・・・)
カウンセラーによってアプローチの仕方はまちまちですし、ちょっと分かり易いように書いてみましたので、毎回こうなるわけではありませんので念のため。それはさておき、違いがなんとなくお判りいただけたでしょうか。
愚痴聞きはただ単にその場の話を聞いているだけ。その場はスッキリするかもしれませんが、モヤモヤは残ったままですし、言い方によっては余計に怒りが増すかも知れません。
実際に、先般私がカウンセリングをしたクライアント様は、時間いっぱいかけて、上司の悪口を言い続けました。ご本人はスッキリしたとおっしゃっていましたが、この方の場合もまだ愚痴聞きで終わった状態です。話しきるまで話していただいてからが本当のカウンセリングになりますので、ここまで鬱屈が溜まっていると、もっと時間や回数をかけなければ、根本的解決にはなりません。
カウンセリングはカウンセラーが一緒に、ご自身の心の中に入っていきます。そこで本当は自分は何を感じているのか、その根源となるものは何かを考え、克服するまでをサポートしていきます。

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